
贋作、いんちき化石、博物館のレプリカ、合成香料、人工ダイヤモンドまで——アート市場や歴史のグレーゾーンに息づく「偽物」を辿りながら、真贋を分かつ線がいかに曖昧かを掘り下げたノンフィクション。芥子色の地に、黒い縦組みの明朝でタイトルを大きく据え、中央にはモノクロのダイヤモンド写真へ金線のワイヤーフレームを重ねた装画。背後にはうっすらと欧文タイトルが滲み、表と裏、本物と模造のレイヤーが版面上で重なり合う。視覚そのものが、本書の主題を静かに反復している。
著小川たまか
装丁鈴木千佳子
亜紀書房 / 2022年
社会・政治