文学・評論
魂にふれる——大震災と、生きている死者 【増補新版】
若松英輔
東日本大震災を経て、亡き人と「生きている死者」として共にあることを問い直した名著の増補新版。震災から十年を経て、悲しみの底をのぞきこむような思索が深められている。表紙では、白い余白に黒い二匹の犬が並んで駆け、淡い金色の尾を引いた星が斜めに流れる。版画のような擦れた質感の黒と、ぽつりと灯る金の対比が静かだ。下部の朱色の帯に縦書きで置かれた本文の引用が、駆けゆく姿と一筋の光を、見えない誰かへ向かう祈りのように結びつけている。