
家族」という既成の枠からこぼれていく人間関係を、淡々とした筆致で見つめる連作小説。深い藍色の画面が格子状に分かたれ、それぞれの窓に水彩で小さな情景が灯る――寄り添う和装の二人、縞の座面に腰かける犬、ガラス瓶の花、柄物の前に佇む人影。他人の部屋の明かりを外から覗き見るような距離感で描かれ、雲形に白抜かれた英字ロゴと縦書きの題字が静かに添えられる。ばらばらに灯る暮らしの集合体が、そのまま物語の輪郭と重なっている。
著椹野道流
装丁西村弘美
装画北畠あけ乃
KADOKAWA / 2016年
文学・評論