
子どもが台所に立つ時間を、家庭の風景としてやさしく肯定する一冊。「小学生からのたのしい料理」という副題が示すとおり、初めて包丁や火を扱う年頃の子に向けた、毎日のごはんづくりの手引きとして編まれている。表紙はあたたかな黄色を地に、両手で皿を差し出す子どもの腕と、ケチャップのかかったオムライス、ミニトマト、添えの青菜がやわらかな水彩で描かれる。手書き感のある明朝の見出しと、皿の下にぽつんと置かれたお玉のイラストが、台所と食卓の距離を縮める。差し出される一皿の高揚を、装画と余白がそのまま掬い上げている。

著高殿円
装丁SAVA DESIGN
装画田中相
小学館 / 2022年
文学・評論