
女性が一日に発することのできる言葉を百語に制限された近未来のアメリカ。言葉を奪われた人々の沈黙と抵抗を描くディストピア小説で、原題は「VOX」。モノクロームの線画で構成された表紙には、口を黒く塗りつぶされた長い髪の女性が中央に大きく据えられ、その周囲を黒衣の人々や割れた鏡らしき断片が囲む。原題のロゴと邦題の明朝体、縦書きの著者名が余白を貫いて配置され、下部の黒帯がシリーズの一冊であることを静かに示す。塞がれた口と引き伸ばされた線が、声を奪われた者たちの輪郭をそのまま誌面に刻みつけている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論