
夜空の下、ひとりの子どもと巨大な竜が静かに向き合う物語の気配が、表紙からそのまま立ち上がる。緑の鱗を細密なペン線と水彩で重ね描いた竜が画面中央で身をくねらせ、丘に立つ小さな人物がその首元へ手を差し伸べる。背景には濃い藍の夜空と散らばる星、岩肌のような起伏が広がり、白く縦組みされた大ぶりの書名が竜と人とのあいだを縫うように走る。文字と絵が互いを侵さず、余白を保ったまま画面に張りを生む配置に、終わりを迎えようとする生き物と少年の対話の静けさが宿っている。

著クォンナミ、藤田、麗子、ライター
装丁鳴田小夜子
装画花松あゆみ
平凡社 / 2024年
文学・評論