
風を読み、土地に宿るものと交感する一族を描く長編。現代社会のなかで失われかけた感受性と、人と自然の境界を揺らす物語が立ち上がる。表紙は白を基調に、線描の家々と階段、藤や草花、鳥や蜂、てんとう虫といった小さな生き物が淡い水彩で散りばめられ、街と自然が一枚の地続きの風景として描かれる。タイトル「カザアナ」は手書きの黒い筆致で大きく置かれ、繊細な線画の上に風そのもののように走る。緻密な細部と余白の呼吸が、物語に流れる風の通り道を視覚化している。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論