
第二次大戦下のニューヨーク、海軍工廠で潜水士を志す女性の半生を描いた長編。父の失踪と海の記憶が、戦時の都市と港湾労働の現実に重ねられていく。表紙は淡い水色を基調に、線描の波と気泡が画面いっぱいに広がり、中央には水中の覗き窓を思わせる円が据えられている。窓の内側だけが少し濃く沈み、英字タイトルは黒で大きく置かれて水面に揺らぐような余白を残す。線と円という静かな造形が、潜るという行為と物語の深度を、装丁の側からそっと示している。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論