
津波で全てを流された者と、波の飛沫一滴すらかからなかった者。30代独身・自営業の男が十畳の仮設商店で3,413円のツケを巡る攻防に挑む、文藝賞受賞作。表紙は色鉛筆で素朴に描かれた小さな商店の風景。自販機、軽自動車、買い物袋を提げて歩く後ろ姿が並び、丸みを帯びた手書きのひらがながタイトルとして大きく重なる。たどたどしい線とやわらかな色面が、日常の細部に踏みとどまる登場人物の手触りを静かに伝えてくる一冊。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論