
平家物語』の作者は鴨長明だった——そんな大胆な仮説をもとに、長明の自伝めいた古文書という体裁で長い生涯と乱世を描き直す書き下ろし歴史小説。表紙はあざやかな朱を全面に敷き、十二単の女房と琵琶を抱えるような人物像を平面的なシルエットで配する。装画は浮世絵や絵巻物を思わせる手触りで、人物の衣の文様や琵琶の撥面が細やかな線で描き込まれる一方、背景は大胆に塗り残される。題字と著者名は右上に黒の縦組で静かに据えられ、朱地の熱と古典的な筆致のあわいから、語り直される中世の声が立ちのぼる。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論