
無花果」と「ムーン」という、果実と月の名を取り合わせた表題を掲げる一作。表紙では膝を抱えて座る少女が、粗い筆致と滲みで真っ黒な地に描かれ、白いスリップドレスと淡い肌色だけが闇から浮かびあがる。背後にはあぶくのような光が散り、こちらを見つめる視線にはあどけなさと心もとなさが同居する。題字を載せる白い帯にはピンクの方眼罫が走り、絵の重い暗がりに少女らしい明度を添える。闇と光、果実と月という相反する手触りが、一枚の画面で静かに共存する。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論