文学・評論
夢探偵フロイト -てるてる坊主殺人事件-
内藤了
夢の中に分け入って事件の核心を探る「夢探偵フロイト」シリーズの一作。てるてる坊主にまつわる殺人事件を軸に、現実と夢の境界が揺らぐ世界を描く。カバーは夕焼けとも炎ともつかぬ赤褐色のグラデーションを背景に、人物たちのシルエットを浮かび上がらせたイラストレーション。縦に大きく流れる白の和文タイトルと、画面中央を横断する赤の欧文ロゴが重なり、文字組そのものが視界を遮るベール、あるいは夢のノイズのように働く。落日の景色と分断される書体の関係が、覚醒と眠りの境を行き来する物語の手触りを静かに伝える。