
孤立した館に集った13人が、見立てに彩られた連続殺人に巻き込まれていく本格ミステリ。閉ざされた空間と複数の視点が織りなす劇場性が、表題の「喜劇」という語に冷ややかな含みを与えている。カバーは俯瞰の構図で塔を望む木造の階段室を描き、コートをまとった人物を見下ろす視線が読者を物語の内側に引き込む。青みを帯びた陰影と淡い光源が舞台装置のような奥行きを生み、縦組みの白い書名と朱の著者名が紙面を引き締める。鮮烈な色を抑えた絵柄が、密室劇の張りつめた静けさをそのまま手に伝える。

著内山純
装丁西村弘美
装画坂本ヒメミ
東京創元社 / 2022年
文学・評論