
都市のマンション408号室を舞台に、住人が次々と入れ替わっていく奇想の物語。日常に潜む不安と恐怖をすくい取る、群像新人文学賞受賞作。装画は青緑のドアが半ば開かれ、白い裾と運動靴の脚が外へ抜け出ていく瞬間を切り取る。淡いピンクの廊下、床に残された鳥かごと開いた小さな道具が、不在の余韻を静かに留める。輪郭の柔らかな線と平らな色面が、生活の手触りと「そこにいない誰か」の気配を同居させ、もぬけという題のひびきがそのまま装画に重なる。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論