
モンゴル帝国の覇者を描く長篇シリーズ第十四巻。チンギス・カンとその将たちが、ホラズム国の皇子ジャラールッディーンを迎え撃つ激戦の場面を軸に、終焉へと向かう遠征の重みが語られる。表紙はくすんだ紫を背景に、線描の濃淡で彫り込まれた獣のような生き物が中央に伏す構図。白抜きの著者名と、金で刷られた「チンギス紀 十四」のシリーズ表記、力強い明朝で大きく置かれた「萬里」が縦に貫く。帯の朱が紫地と切り結び、「いつでも、最後だと思え。」の一文を際立たせている。装画の不穏な気配と、距離を孕んだ書名が、果てしない遠征の景色を呼び起こす。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論