
人類学者がフィールドで出会った、モノや石や死者までもが「生きている」とされる世界。その思考を手がかりに、人間中心の世界観の外側へと読者をいざなう一冊。カバーは淡い藤紫を地に、輪郭のにじんだ植物や有機的なかたちが半透明に重ねられ、その上に縦組みのタイトルが大きく置かれる。下半には白地と帯の領域があり、白いゴシック体の著者名と、帯の細やかな組版が静かに呼応する。輪郭の溶けた図像と毅然とした文字組の対比が、見える世界と見えない世界の境を行き来する本書のまなざしを映し出す。
著尾崎世界観
装丁古屋郁美
文藝春秋 / 2019年
文学・評論