
舞台や寄席で出会った役者・噺家たちを、客席という距離から見つめ続けた著者によるエッセイ集。観る者と演じる者のあいだに流れる時間を、静かな筆致ですくい上げた一冊である。カバーは余白の広い白地に、線描で描かれた人物の顔がいくつも浮かぶ構成。細い一本線がそれぞれの表情の陰影や眼差しを的確に捉え、添えられたローマ字の小さなキャプションが、肖像の群れに名簿のような秩序を与える。タイトルは縦組みで右寄りに据えられ、絵と文字のあいだに視線の往復を促す。客席から見つめる、というまなざしそのものを装幀に置き換えたような佇まいである。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論