
海の生き物たちが集う架空のバー「オクトパス」を舞台に、マスターのタコと客のあいだで交わされる小さな会話を綴った短編集。淡い水色を基調にしたカバーは、店内に佇むタコのマスターと人魚の客を線の細い手描きタッチで描き、泡や魚影、瓶の並ぶ棚までを軽やかに配する。タイトルロゴは黒い吹き出し状の囲みに白抜きで置かれ、帯のピンクと相まって柔らかな酒場の温度が立ち上がる。にじむ水彩と素朴な筆致が、ひと息つくための一杯のような余白を画面全体にもたらしている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論