
遠未来の植民星を舞台に、債権回収を生業とする「金融屋」たちの奇妙な事件簿を描いた連作短篇集。借金と労働、テクノロジーと倫理が交差する宇宙の片隅を、乾いたユーモアで切り取っていく。漆黒の地に浮かぶのは、占星術図のような同心円とラテン語めいた手書き文字、そして中央に据えられた骸骨の手。指の骨が組む祈りとも契約ともつかぬ仕草が、淡い金色で発光する。タイポグラフィは縦組みの和文と横組みの英文が直交し、古星図の神秘と帳簿の冷たさを同じ画面に共存させる。星と数字、肉体と契約。装丁そのものが、この小説の輪郭を静かに引き受けている。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論