
蓋を開けた弁当からエビフライをつまみ食いする、眼鏡の女性が描かれた一冊。タイトルどおり、出来立ての弁当をこっそり味見する瞬間の幸福を、淡い物語として綴っているのだろう。表紙は手描き感のある水彩タッチで、白米に乗った梅干し、衣のついた揚げ物、青菜や卵焼きが彩り豊かに積まれ、黄色いランチクロスの上に箸や小皿が散らばる。空の青と木目の卓、頬を緩めた横顔。生活のすぐ隣にある小さな悪戯を、温度のある色面と素朴な線でやさしくすくい取った装丁である。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論