
カナダ・プリンス=エドワード島の農場に引き取られた孤児アンが、想像力と言葉で世界を彩りながら育っていく物語。邦訳70周年を機に刊行された決定版である。表紙は淡い青の線描を基調に、花のアーチを潜って語り合う二人の少女、傍らで読書する人物、丘の上に佇むもう一人の影が透明感のある水彩で描かれる。ピンクの野ばら、紫のルピナス、黄の花々、緑の葉叢が余白の白に浮かび、文字組みは中央に控えめに据えられている。線と色面の繊細な重なりが、少女の眼に映る島の光と、訳文に流れる息づかいを静かに重ね合わせる。

著宮田愛萌、渡辺祐真(スケザネ)
装丁大久保明子
装画北澤平祐
文藝春秋 / 2025年
文学・評論