
ロッキー山中で姿を消した娘と、その喪失を抱えて生きる家族の歳月を描く長篇ミステリ。原題「DESCENT」の静かな響きが、事件と人生の双方の「下降」を予感させる。表紙は青みがかった暮色の山肌を背景に、稜線を見上げる小さな人影をシルエットで配置。手前は黒く沈んだ斜面に飲まれ、上部の雲とのコントラストだけが残る。白抜きの太いゴシックで組まれたタイトルが画面中央を断ち切り、人物を風景から切り離していく。圧倒的な自然のなかで個人がほどけていく感触を、色面と余白で静かに伝える一冊。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論