
門司港のレトロな街並みを舞台に、コンビニ「テンダネス」を取り巻く人々の機微を描く人気シリーズ第三作。今作は港町の一角、こがね村店を起点に大人たちの恋物語が立ち上がる。カバーには夕暮れの逆光に染まる洋風建築の街路と、買い物袋を提げて佇む二人の人物が淡いオレンジの空とともに配される。右側に大きく抜かれた明朝体の縦組みタイトルと、丸囲みの店名ロゴが画面に静かな構造を与えている。日常の延長にある黄昏の光が、ささやかな物語の予感をそっと運んでくる。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論