
七十歳を迎えた国民は安楽死を選ばねばならない——そんな架空の法案が可決された世界で、介護に追われる家族の日常が静かに揺らいでいく長編小説。カバーは新聞紙面をそのまま転写したような構図で、見出しの黒い明朝体と本文の細かな活字が画面いっぱいに敷き詰められる。中央には赤い濃淡で刷られた家族らしき人影が浮かび、報道の客観と当事者の輪郭が一枚に重なる。制度が一行の見出しに圧縮された瞬間、その下で誰が立ち尽くすのか——装丁が問いの所在を先に告げている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論