
料理は得意でも好きでもない著者が、それでも日々の「食べること」と向き合い続けた暮らしを綴る、『生活』シリーズ第四弾のエッセイ。淡い水色を地に、網点のかかった黒いフライパン、包み紙のキャンディ三粒、緑を添えたコロッケらしき皿が、手描きの線でぽつぽつと配置される。タイトルと著者名、ローマ字表記までもが同じ筆致で書き起こされ、印刷物でありながら台所のメモのような親密さが立ちのぼる。気負わずに食卓へ戻ってくる文章を、装画のささやかな温度が穏やかに引き受けている。

著ミラン・クンデラ、西永良成
装丁田中久子
装画横山雄
集英社 / 2024年
文学・評論