
人生の踊り場に立たされた人々が、それぞれの場所でもう一度立ち上がろうとする姿を描く連作。表紙には、黄色いカーディガンを羽織った人物が湖畔に折りたたみ椅子を据え、カップを手に水面を眺める後ろ姿が淡い水彩で描かれる。足元にはランタンと小さなポット。柔らかな緑と朝靄のような白がにじみ、輪郭は意図的にほどかれている。タイトルは縦組みで右上から落とされ、絵の静けさを乱さない。今いる場所からそっと景色を変えてみる、そんな時間の手触りが装画と書名のあいだに置かれている。

著望月麻衣
装丁bookwall
装画いとうあつき
ポプラ社 / 2023年
文学・評論