
オーストリアの作家による長編小説。かつて愛し合いながら別離した男女が再会し、過去と現在、虚実が交錯しながら物語が螺旋を描いて進んでいく。深い緑を背景に、赤いソファに腰かけて本を読む少女の絵画的な人物像が中央に据えられ、その下半身は床面に映り込みのように溶け出して輪郭を失っていく。タイトルは白の明朝で右側に縦組み、原題の筆記体が淡く重ねられて層をつくる。記憶の像が静かに揺らぎ、確かさを失っていく物語の温度が、この反射の構図に託されている。
著相羽鈴
装丁AFTERGLOW
装画睦月ムンク
集英社 / 2016年
文学・評論