
ヴォネガットの未発表短編集。死後に発見された16篇を収め、ユーモアと皮肉、そして人間への眼差しが静かに通底する。鮮やかな黄緑を地に、左には赤チェックのシャツに作業着姿の小さな男、右には目を伏せた巨大な女性の横顔が淡彩で描かれ、二者のスケール差が一枚のなかで奇妙に同居する。やわらかな線描と水彩のにじみ、繊細に散らされた花や粒の模様が、寓話のような距離感を生む。題字は黒の和文を上に、英題と「Unpublished Short Fiction」を下に小さく配し、絵の奇想を静かに受けとめている。眠りと目覚めのあわいに置かれた小品たちにふさわしい装いだ。
著平沢逸
装丁川名潤
カバー写真竹之内祐幸
講談社 / 2024年
文学・評論