
独創的な言語感覚で、滝沢カレンが母と祖父母にまつわる記憶を29篇に綴る初の私小説。新しい家族を得た今、薄れてゆく前に書き留めた日常の断片が、個人的なアルバムから読む人それぞれの懐かしさへとひらかれていく。三つの茶碗を淡い水彩と色鉛筆のような線で描き、青い手書き題字を大きく横切らせた表紙は、食卓に残る家族の気配を素朴に伝える。余白を活かした軽やかな文字組みと、器ごとに異なる色や柄が、思い出の不揃いな温度をやさしく束ねている。
著小佐野彈
装丁鈴木成一デザイン室
装画西川茂
集英社 / 2019年
文学・評論