
日常のささくれや滑稽さ、過ぎ去った時間の断片を独自のリズムで綴る短篇集。記憶の底からふと立ち上がる人物や情景を、軽妙な語り口で掬い上げていく。白地のカバーに、墨と朱で手描きされた縞模様の三角形が上下に向き合い、その狭間に小さな顔がぽつりと置かれる。盆踊りの櫓と人影を想わせる左右対称の構図は、にじみを残した筆致がどこか祝祭の遠さを伝え、表題文字は余白に散らされて静かに呼吸する。賑わいの記憶と、それを眺める一人称の距離感が、画面の中で穏やかに重なっている。

著EverettPercival、木原善彦
装丁鈴木成一デザイン室
装画吉田雨水
河出書房新社 / 2025年
文学・評論